レポート(2/4)

おひる 〜奇妙な味わい〜

河合拓始のピアニカと語りは本当に奇妙な味わいで、一人二役の会話から始まる。ルリタテハが後ろの足をさわられる気持ち良さが、ラの音で表現されたり、モノガタリと音が交差して最後は以外な結末、ルリタテハをお母さんとしてするめいかをお父さんとする子供が両親に語りかける思い出話で幕を閉じる。私が以前に東京で公演した「半魚人面魚」と通じるところがあって不思議な味わいだった。
労働歌は、手塚と河合氏とで企画したもので、息を合わせて人々が何かしなければならない状況があれば、そこから歌が立ち上がるのではないか?という一つの問いから始まった。でも現在そういう労働というのはなかなか無いものだ。しかも、限られた場所と時間で立ち上げようとすればなおのこと難しい。それで、本来はそういう形態での労働はないけれど作ってみた。
長い雑巾を縫い、8人で息をそろえて雑巾をかける。二つの雑巾を作って計16人に雑巾がけに挑戦していただいた。始まって間もない時間帯なのに、いきなり雑巾がをけみんなでしたいと言い出したので、客席は騒然となってしまったが、以外にもすぐに16人の希望者で雑巾は埋まった。まずは、何もこちらが提案しないので勝手にみんなで雑巾かけてみてほしいと言い、そのあと、その雑巾がけを息を合わせて楽しくするために、何かかけ声みたいな物をかけてほしい、相談する時は歌の拍子にのせて話をしてほしい、など無理難題を次々にお願いしたのですが、皆さん楽しんで取り組んでくださり、2チーム全くちがったタイプの歌が生まれて行った。すごく不思議で楽しい時間だった。
おかず石では、小さな畳の部屋でご飯を炊き、石の用意も整って自由に参加してもらった。思ったよりお客さんが次々に部屋に入っては味わって、また入れ替わっては味わいに来てくださるような、おかず石のお店のようで素敵で奇妙な時空間であった。川で拾った石たちは、どんな味わいだったのか?感想をもっと聞いてみたい。
カメラ獅子では、カメラを獅子に見立てた山中カメラがお客さんの頭を噛むというキュートで意味不明のライブとなっていた。カメラの倒錯的な利用方法にかけては天下一品で、しかも民俗芸能のように意味を瓦解して別の次元へと開いて行く力がある。
休憩のVJは大澤寅雄選りすぐりの民俗芸能が次々と映し出され、休憩にも関わらず野良始まって以来一番の集中しどころと言わんばかりにお客さんは息をのんで集中して見ていた。特におきながじっと動かずに肘を支えられている映像にみんな度肝を抜かれていた。これだけで別のイベントがひとつできそうな勢いだ。